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鈴木敏泰(准教授)(2ページ) 分子研リポート2011 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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228 研究領域の現状

鈴 木 敏 泰(准教授) (1998 年 1 月 1 日着任)

A -1).専門領域:有機合成化学

A -2).研究課題:

a). 電界効果トランジスタのための有機半導体の開発 b).有機 E L素子のため有機半導体の開発

A -3).研究活動の概略と主な成果

a). 我々は,カーボンナノチューブの短いセクションである芳香族ベルトの合成に取り組んでいる。芳香族ベルトは,ナ ノチューブ発見以前の1983年に興味深い合成ターゲットとして提案された。それ以来,多くの合成化学者が挑戦し 続けているが,未だ完成の報告はない。芳香族ベルトの合成が困難な理由は,非平面による歪みが大きいことと, H OM O – L U M O ギャップが小さいため不安定であることが考えられる。我々は D F T 計算により,比較的小さな歪み エネルギーと適切な H OM O – L U M O ギャップをもったベルトを設計した。最近その前駆体の合成が完了し,ベルト の完成に近づきつつある。その過程で,偶然に芳香族サドルと呼ぶべき,鞍型の極端に平面性を失った新ベンゼノ イド化合物を得ることができた。これは [8] サーキュレンと呼ばれる化合物の誘導体で,以前にこの分子構造が報告 されたことはなかった。1983年に [7] サーキュレンが報告されて以来,いくつかのグループが [8] サーキュレンの合 成を目指したが,歪みの大きさのため完成することはなかった。今回合成した [8] サーキュレン誘導体はオレンジ色 の固体で,サイクリックボルタンメトリーにより可逆の 1 電子酸化が観測された。単結晶X線構造解析では,3次元 的な π 相互作用していることが分かった。このため,この化合物はユニークな p 型半導体として機能することが期 待される。

B -1). 学術論文

T. IWAMOTO, Y. WATANABE, Y. SAKAMOTO, T. SUZUKI and S. YAMAGO, “Selective and Random Syntheses of

[n]Cycloparaphenylenes (n = 8–13) and Size Dependence of Their Electronic Properties,” J. Am. Chem. Soc. 133, 8354–8361 (2011).

B -4). 招待講演

鈴木敏泰 ,.「フッ素系有機 n 型半導体の開発」,.第22回有機エレクトロニクス研究センター講演会 ,.山形大学 ,.2011年 12月. T. SUZUKI, “Perfluorinated Aromatic Compounds as Organic n-Type Semiconductors,” Advances in Organic Materials: A Symposium in Honor of Fred Wudl’s 70th Birthday, Santa Barbara (U.S.A.), January 2011.

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研究領域の現状 229 B -10).競争的資金

科研費基盤研究 (B)(展開),.「フッ素化フェニレン化合物の有機 E L ディスプレーへの実用化研究」,. 鈴木敏泰. (2000 年 –2001 年 ).

科研費奨励研究 (A ),.「新規含フッ素芳香族化合物の合成と有機 E L 素子における電子輸送材料への応用」,. 阪元洋一. (2000年 – 2001年 ).

科研費基盤研究 (B)(一般)「有機,. トランジスタのための n 型半導体の開発」,.鈴木敏泰.(2002 年 –2003年 ). 科研費若手研究 (B),.「フッ素化ペンタセン類の合成と有機薄膜素子への応用」,.阪元洋一.(2003年 –2004年 ). 科研費若手研究 (B),.「チューブ状多環芳香族炭化水素の合成」,.阪元洋一.(2006年 –2007年 ).

C ). 研究活動の課題と展望

2010年10月より,京大化研・山子教授を代表者とするC R E ST「超分子化学的アプローチによる環状π 共役分子の創製と その機能」がスタートし,共同研究者として参加することとなった。有機 E L や有機トランジスタの材料開発において,π 共 役分子の経験が豊富なところが期待されているのだと思う。これまで,有機デバイスに使われているπ 共役分子は直鎖型 のものである。これが環化することによって,どのような固体構造を取るのか興味深い。アモルファスになるのか,結晶にな るのか,それとも分子構造により自由に制御できるのか,その点を見極めていきたい。我々はここ数年,短いナノチューブの 有機合成に取り組んでいる。これは,今回の C R E ST のテーマとも合致するので,今後ともその完成を目指していきたいと思う。

参照

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